八月になりましたが、戻り梅雨のような曇空が広がっています。
外は雷と大雨

そして未明にはまた地震がありました。三日連続、嫌だね。。。
今年の夏はどこか遠くに光が飛んで行ったようなあやふや感があります。
本に向かう時間がとても大切に思えるのは、
現実の世界が重く暗く息苦しいせいなのかも知れません。
『錨を上げよ(上)』 百田尚樹
上巻だけで594ページのボリューム。
こりゃ、読むのに苦労するかな〜っと思っていたら、おっとびっくり。
サクサク読めちゃいましたぁ。
何なんだぁ〜。この主人公、作田又三の激しい生きざまはっ?!
昭和30年、大阪の下町に生まれた作田又三の勝利と敗北が
繰り返される生涯をきめ細かく丁寧に綴っています。
一言で言うと、野生児ですねぇ。
とにかく人に指図されるのが大嫌い。
勉強は嫌いだけど、頭は悪くない(と思われる・・・)
惚れっぽく、かつ惚れた女で生活態度がコロコロ変わり、しかもよく振られる。
将来についてのビジョンはまったく無し。
金遣いは粗く、使い道もめちゃめちゃ〜。
なんか、文章にするととんでもなくダメなヤツだねぇ(笑)
でも、何故だか物凄い魅力的です。
上巻の終わりで京都から東京に行ってしまった作田又三の次の行動が気になるよ〜!
この先どんな運命が作田又三を待ち受けているのでしょうか?
『ゆんでめて』 畠中恵
「しゃばけ」シリーズ第9作。
「弓手(ゆんで)」左に進むか「馬手(めて)」右に進むか・・・
その選択が人の運命を大きく変えてしまう。
若だんなの取った一つの些細な行動が元で別れが訪れます。
悔やんでも悔やみきれない日々。
時間が一年ずつ逆のぼり、いろいろな出会いや別れが描かれていきます。
ひとつひとつの物語に味があるね〜〜。
人と妖の間のほろ苦さや温かさが江戸の町並みに浮かびあがる一作。
『錨を上げよ(下)』 百田尚樹
作田又三のその後・・・読みました〜〜!
いや、長かった。ついでに重かった(^^ゞ
枠に囚われない、そもそもこの男を何かで縛ることなど不可能なのかもしれない。
全てが本能の赴くまま。。。
まず、大阪から上京、東京から根室、そして大阪に戻り幸福を掴んだと思ったら
なんと、タイに渡って危ない目に遭います。
んん〜、こうやって書くと改めてとんでもない人生ですねぇ。
「破天荒」って言葉を人間にすると作田又三が出来上がるのかもしれません。
彼の人生という名の航海の、錨を下ろす「終着の港」がどこなのか・・・?
何も見えないままにこの物語は終わりました。
でもどこでなにをやって暮らしていても、彼が彼のままでいられていればいいな。
『池袋ウエストゲートパーク[ 非正規レジスタンス』 石田衣良
久しぶりのIWDP第8作。
さて今回のマコトはどんなトラブルに首を突っ込んじゃってるのかな?
登場人物はシングルマザーのユイ、
Gボーイズの王タカシとミッドシティの御曹司カズフミ。
やばい彼氏に脅されるハルナと彼を守る定年間近なブルドックのような親父さん。
そしてなんと言っても「非正規レジスタンス」の主人公・サトシ。
コインロッカーに全財産を預け、日々の糧を日雇いで稼ぎ、
ネットカフェのナイトパックを泊まり歩く世間からは見えない透明な若者。
それでも彼は誇り高く前向きに生きていこうとする。
彼のノートに書かれた言葉は心を強く抉ります。
あきらめない。あきらめたら、そこで終わりだ。
泣かない。泣いたら人に同情されるだけだ。なきたくなったら笑う。
うらまない。人と自分をくらべない。どんなに小さくてもいい。自分の幸福の形を探そう。
切れない。怒りを人に向けてはいけない。今の僕の生活はすべて僕に責任がある。

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