ON THE ROAD 2011ファイナル
さいたまスーパーアリーナから一週間が過ぎました。
あの会場の中に心を置いてきたような戸惑いを感じ続けていて
自分の文章を綴ることが出来ませんでした。
でもそろそろ自分の気持ちを前に進めるために
どこかで折り合いをつけないといけないのかもしれません。
誰のためでもなく自分だけのために今書ける言葉を書いてみよう・・・
最高のステージになると信じて疑わなかった。
コンサート前には省吾仲間との楽しい食事会で笑いまくり、
物凄い良席に恵まれた友達と散々盛り上がり、
オープニングの演奏に波のようにかぶさる17000人の大歓声!
ますます磨きのかかった艷やかで、熱くて深い省吾のヴォーカル。
軽やかなステップと決してファンでも
かっこいいと言っちゃ〜いけない変なダンス(笑)
ストリングスのメンバー紹介の時の場違いなあのBGMも
ひたすら楽しんでいました。
(省吾の心の中は知る由も無かった・・・)
バラードでは泣き、オーケストラコーナーでは本物の音に酔い、
ギターとドラムが炸裂するロックの振動を体で受け止め、
「J.BOY」では、ステージスクリーンに映るはるちゃんに手を振りました。
全てが最高なクライマックスへと向かっていた(と思い込んでいた・・・?)
センターステージ、私の位置は町支くんと福ちゃん側。
省吾が必ず戻って水分を補給したり、ギターを持ち替えたりするのが
よく見えてすごい幸せだった。
長田さんとこじやんは一番遠くでほとんど見えていませんでした。
指でカメラの形を作って、くるくる回りながら会場のお客さんに
シャッターを切りレンズに収めていく省吾。
そして拳で自分の胸をトントンって叩いて「ここに入れたよ」っていうポーズ。
何もかもがファイナルに相応しい感動的な仕草でした。
メンバー紹介の時に小田原さんを「バンドの心臓」なら
この人は「バンドのハート」です、ピアノ・小島良喜と紹介した省吾。
あの「家路」のイントロが鳴るはずだった。
私がはっきりと違和感を感じたのはこの瞬間からだった。
ピアノが違う?弾いてない?合ってない????
そして省吾の弾くギターの音に体が震えた。おかしいよ。
いつもはセンターステージの隅々まで回って歌を届けてくれる省吾が
ピアノの位置から動かない。
そんなに隣で弾いているのに合わないギターとピアノ。
鳴らないピアノ・・・
どうしたの?故障?不具合?
「陽はまた昇る」でもピアノが鳴らない異様な光景は繰り返され、
ひたすら魂を削り渾身の力を振り絞って熱唱する省吾の姿を
涙で見つめ続ける自分がいました。
あれほどまでに必死に歌う省吾を私は今まで見たことがあっただろうか・・・?
かなりの時間が過ぎ、やっと整ったアンコールのステージに
星さんとこじやんの姿は無く、指揮棒を自ら振って歌い始めた省吾。
この時点ではっきり何かがあった(起こった)事を確信しました。
どんな思いで省吾はステージに立っていたのだろう?
たとえそれが思い通りにいかないとしても・・・
ただひとつの 君が人生の時
そのままの歌詞のような状況で、それでもひたむきに真っ直ぐに
客席とステージを繋ぐ絆を確かめるかのように歌ってくれました。
ステージの端から端まで、丁寧におじぎをして手を振って、
「ありがとう」の一言だけを残して、スポットライトから降りた省吾。
鳴り止まぬ拍手と歓声。
繰り返される度にボリュームが上がる公演終了の館内放送。
その放送をかき消すほどの省吾コールと拍手。
ステージスクリーンの映像が切られ、撤収が始まるまでそれは続きました。
一目、一声、それがみんなの願いだったはずです。
今までに感じたことのないコンサートの余韻。
感動した!楽しかった!だけではない別の感情。を抱えたファイナルでした。
何があったのか?は知りたいけれど、
誰かを責めたりはしたくない。
あんなに頑張った省吾が苦しんで欲しくない。
98年12月、神奈川県民ホールで「片想い」を聞きました。
演奏が終わり拍手が終わっても・・・省吾は無言でした。
客席は張り詰めたように沈黙していました。
そして大きく息をついた省吾は微笑みながらこう言ったのです。
「あんなに朝までお酒を飲みすぎていたのにこじやんのピアノは凄いね」
会場は一気に笑いに包まれました。
そんな事を思い出しました。
今の省吾が大好き!
今のバンドメンバーが大好き!
ON THE ROAD 2011に関わる多くの人たちが最後には笑えるように祈りたいです。

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