浜田省吾『ON THE ROAD 2011 ”The Last Weekend”』ツアーの中で
歌われた数多くの名曲の中でも、『J.BOY』の持つパワー、説得力は
歌詞にある言葉と同じように突き抜けていました。
2011年が明けて間もない頃・・・
コンサートで使用する画像(人物の顔)を募集するサイトが設けられました。
そこに書かれていたのは「J.BOY」の演出に使用します。の文章。
そっか、そっかぁ、今度のコンサートでも「J.BOY」は歌うって事ね♪
ま、鉄板曲だから外れるって事はないかぁ〜。
人の顔。はるちゃんが省吾のバックに映ったら嬉しいだろうな。。。
アルバムを引っ張り出して、いい写真がないか探してみる。
その頃、入院中だった父の病気は進行し、
故郷はすぐに駆けつけるには遠く離れていて、心はいつも塞いでいました。
春になれば省吾のアリーナツアーが始まる、
でも、春になる頃には、父はもういないかもしれない・・・
そんな気持ちの中で、一枚の写真を見つけました。
お風呂を泡泡にして、その中で嬉しそうに笑う三歳のはるちゃん。
この写真を出してみよう。
省吾が見てくれるかもしれないよね。
写真を投稿して何日も経たない2月の寒い日、父は逝きました。
一人で乗った始発の新幹線、涙が静かに静かに頬を伝いました。
広島に帰り、葬儀を済ませ、一人になった母の側に寄り添い、
自宅に戻ったその三日後、あの東日本大震災が起こったのです。
会社の同僚の妹さんご家族が津波で犠牲になり、
相次ぐ余震や津波被害の惨状、原発事故の深刻な状況、
日常生活では、ガソリン不足、物不足、そして電力不足。
誰もが、省吾のコンサートツアーが予定通り行われるのか?に
疑問符を持っていました。
そんな不安や心配の中、ON THE ROAD 2011は幕を開けたのです。
このタイミングで、ステージが始まる。
省吾に課された運命のようなものを感じました。
神戸の復興支援コンサート。
このツアーで初めて聞く『J.BOY』
胸を打つメッセージ。
魂を乗せた歌声。
会場全体に広がるパワーの波動。
そして自分の目に飛び込んできたのは
大きい大きいはるちゃんの笑顔!!
父と母から命をもらって、
自分が母になり、子供に夢をつないでゆく。
そんな当たり前の幸せをつかむことが一番難しく尊いことなのかもしれない。
コンサートの度に、ステージスクリーンのわが子に手を振りました。
このツアーで歌われた『J.BOY』の意味を、感動を、喜びを
私は生涯忘れないでいたい。と思うのです。


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